猿でもできる完全基板マニュアル

はじめに

私達鹿野電気‘97はネットワーク計測システムの基板化を行った。試作段階のNMSの回路は配線が全て、??線で行っている。そのために、配線ミスや半田付けした線がはずれる、線の断線などが心配される。NMSの実用化には基板の信頼性や誰にでも簡単に制作できることが求められる。そこで、NMSの基板化を行い、誰にでも簡単にNMSを制作できるようにした。

  1. 感光基板の原理  
  2.  この基板は銅箔面に、紫外線で露光すると光が当たったところは色が変わって、パターンがハッキリと浮き出る特殊なポジティブ感光剤処理している。
    焼き付けにはポジティブフィルムを使用する。ポジティブフィルムとは、パターンが黒、余白は透明なフィルムをいう。
    焼き付け、現像処理が行われた基板は、パターンのところにだけ感光膜が残りエッチングするとカバーされたところだけが残る。こうすることで、回路パターンができる。

  3. 感光基板の作り方

    2.01パターン作成

     方眼紙にパターンの下書きをして、ミスがないか入念にチェックする。
     下書きのコピーを撮り、発泡スチロールに張り付け、ICソケット等の大きな部品が無理なく付けられるか、チェックする。
    4回路図が出来たら図形ソフト(花子Ver3.1)で書く。パターン線の幅は1mmとする。
     基板の穴は2.54mmであるからグリットスケールを2.5mmとして作り、コピー機で拡大修正する。
     回路図に穴のレタリングを行う。ICソケットやラムカードの端子など連続して空いているところは、一度にレタリングを行う。数回に分けるとずれてしまうために、ソケットが入らなくなることがある。
     レタリングし終わった回路図をOHPシートにコピーする。コピーの濃さに注意してなるべく濃くする。濃すぎると、白い部分が薄黒くなってしまう。

   2.02焼き付け準備

     必要なもの

  • ライトBOX
  • OHPシート
  • ポジ感光基板
  • 現像液
  • エッチング液
  • おもし(YUASAバッテリ等)
  • フラックス
  • お湯(ポットにいっぱい)
  • バット(三つ以上)
  • 温度計
  • ウエス

    ライトボックスにOHPシートを乗せる。このときOHPシートの表裏を間違えないようにする。NMSOHPシートの場合、文字が読めるように置く。
     感光基板をOHPシートに乗せる。OHPシートと感光面との隙間が出来ないように密着させる。大きめな本を2冊並べて、その上にバッテリをゆっくり乗せる。このとき部屋は出来る限り暗くする。また、感光面には触れないようにする。

図2.1焼き付け準備

    1. 焼き付け開始
    2. ライトボックスのスイッチをつけて、焼き付けを開始する。焼き付け時間は4550分行う。焼き付け開始したら、部屋を明るくしてもかまわない。焼き付け時間中に現像液の準備を行う。

    3. 現像

現像液の作り方及び使用方法は、説明書を詳しく読んでもらいたい。
簡単に説明すると、現像液はぬるま湯が現像に適している。(3035度)準備中もしぬるくなってきたら、湯煎をして温度を上げる。
焼き付けが終わったら部屋を暗くし、ライトボックスのスイッチを切って基板を現像液につける。バットを揺らし現像液を混ぜる。現像液の使用した回数にもよるが、綺麗に回路が浮き出るまで行う。現像がある程度終了すると光を当てても平気になるから、少しひかりをあててチェックする。現像時間がが長すぎても良くない。
 現像をストップさせるために、現像液を洗い流す。このとき、パターンを傷付けないようにウエスで水分をふき取る。
現像液は廃液としてペットボトル等に保管しておき、処理する。

図2.2現像中の基板

2.5 検査・修正 

パターンが切れていたり、不安なところはマジックで修正する。また、はみ出したところはカッターなどで削る。この検査は大切な作業であるから、入念に行う。現像までの行程にミスがあっても、この修正でカバーできる。

2.6エッチング

バットに基板を上向きに入れエッチング液を適量入れる。下向きに入れると、パターンに傷が付く恐れがあるので、必ず上向きにする。

図2.3エッチングの準備  

バットを揺らし、エッチング液をかき混ぜる。エッチング液も同様に3035度が適していると思われる。 エッチング中に温度が下がってきたら、湯煎をして温度を上げる。温度が高いとエッチングの速度は速くなるが、速すぎると基板が綺麗に出来なくなる。また、エッチング液が黒くなってきてエッチングが進まないときは、エッチング液を交換する。エッチング液も現像液と同様廃液としてペットボトル等に保管しておき処理する。
エッチングは図 ??の様に回路以外の銅が溶けたら、引き上げて水洗いする。水洗いは大量の水を使って行う。
水を拭き取り、シンナー又はメタノール等で感光膜を除去し、フラックスを塗り銅が錆びないようにする。

図2.4完成した基板

完成した基板は、プラスチックカッターでカットし穴を開ける。