その3・燃料電池の発電試験                       2003.04.27

ついに燃料電池とDC-DC・キャパシタを使っての発電試験に挑みます。
宇都宮工業高校チームからも、
燃料電池発電の安全性にも関わることなので特別に
大会前でのデータ公開のOK
を貰いましたので、発電試験の結果を詳細に報告します。

燃料電池用DC-DCの効率ですが、
   入力・出力電圧差の大きいとき・・・・・91%程度
   入力・出力電圧差の小さいところ・・・・98%程度
   
5A入力・4A出力の常用範囲・・・・・・・94%程度
   (コントロール用電源消費を含む)
コイルやスイッチ用FET・ショットキーダイオードといった部品をすぐに入手できる
あり合わせのパーツで仕上げたにしては、まず満足でしょう。

さらに、今回市販12V用500mWの定電圧DC-DCを2個追加
これは別の目的で使用するためです(燃料電池のFan対策・その2)。
これをDC-DCのケースに収め完成。
燃料電池用DCーDC仕様
smallnew.gif (926 バイト)

DC−DC完成にあわせて、宇都宮工業高校チームの方でも大同メタル推奨の加温Boxsmallnew.gif (926 バイト)完成!
ボンベ1本で1時間発電できるか挑戦してみることにしました。

今回も以前同様、温度センサを使ってボンベ温度と燃料電池温度も測定。
燃料電池はセルに取り付けが困難なので加温Box内燃料電池の近くに取り付けました。

このところ天気も良く快晴・気温も22℃と秋田大会よりは高い気温かもしれません。
今回は実際に走行ではなく、モータをつないで4A定電流消費でのベンチテストをすることに
しました。
燃料電池に水素ガス供給!、電池電圧15Vを確認その後、5分間のアイドリング
電圧も安定しているので、DC-DCスイッチオン

今回は500F7直列と実際に大会で使用するのキャパシタを使ったので、キャパ充電池間は
6分程度で充電完了。

wpe1.jpg (27211 バイト)燃料電池の電圧・電流特性

ここで5分ほどモータを回して動作チェック、燃料電池電圧が若干低下したものの50W以上の発電確保。

wpe2.jpg (30069 バイト)燃料電池の発電電力・温度特性

この時点で燃料電池温度は30℃、
ボンベ温度も若干低下したもののガス圧安定・加温Boxの効果があるようです。

そこで、次に1時間発電試験に突入!
負荷の消費一定にして実験開始・
燃料電池の温度は徐々に上昇・ボンベ温度の温度低下もなし。
ボンベ温度も約20℃程度をキープすることになり、これなら行ける!といったところでしょうか?

ここまでは燃料電池の上下6個のファンのみで動作させてたので、
試しにサイドの4個のファンも回転することに、すると電圧がピョンと上昇!
サイドファンで4W程度上昇、ファン1個1W計2Wですので結果2W増えたことになります。

しかし、10分後からじりじりと燃料電池電圧が低下
さらに電圧は下がっていく・・・・思ったより燃料電池からの発熱が大きい。
温度計でも40℃を越え更に上がっていく・・・ボンベ温度も上昇!
燃料電池電圧も更に下がってついに10Vを切り9Vも切り・・・・
ついに保護電圧でOFF
何が起こったのかわからない パニック!!

DC-DCのスイッチを一旦切り再度ONに、電流を取りだそうとすると電圧が出ない。パワーダウン!!
燃料電池温度も50℃を超えている! 
燃料電池からの取り出す電流を減らし、実験続行。

燃料電池の温度上昇は低下したものの、パワーは出ない・・・
今までの発電特性とは大きく違ったのは明らか。 でも原因は不明。

その後は高温の状態で温度安定・電力安定、ということで試験続行。

途中、加温Boxの外からFanで風を送ったりと試行錯誤。
実験開始後60分を過ぎた時点で圧力計が徐々に低下。

ついに圧力0、水素供給停止となり発電電圧も低下してきたのでここで実験終了。

今回の実験でわかったことですが、
・加温Boxをつかえば水素ガスボンベ温度低下は問題なさそう。
・ボンベからは1本1時間のガス供給が確認。
・燃料電池の発熱は思った以上、温度が上がりすぎるとパワーが減少してくる。

ということは、
燃料電池は冷やす(燃料電池温度は30℃程度がパワーが出る?)
反対に冷やさないと
最悪燃料電池は破損(今回の燃料電池は熱による損傷が発覚しました)
&空気はなるたけ送ったほうが良さそう。
ボンベ加熱ばかりしようとして燃料電池の放熱が十分でないと燃料電池の破損、
またはボンベ温度40℃を越え内圧上昇の可能性
もでてきましたので、十分注意です。

冷えすぎの方が解決したと思ったら次は熱しすぎの問題とは・・・・・なかなか奥が深い。

そこで、燃料電池加温Boxの対策ですが、
・燃料電池の空気孔を大きめに開けて冷えすぎるくらいに準備しておく。
・燃料電池とボンベに温度計を取り付けボンベが冷えすぎず、また燃料電池温度も
 上がりすぎないように加温Boxの吸気孔をテープで調整する。
 走行時に燃料電池の温度が上がりすぎたらパワーを調整するか孔の調整する。
というのは如何でしょう?

 
安全のためにはボンベ温度が40℃越えたり、燃料電池温度が上がりすぎたら
 自動的に発電停止するような保護回路を入れた方が良い気もします。

1・燃料電池の特性測定
2・燃料電池用DCDCコンバータ
3・燃料電池の発電試験
4・燃料電池のFan対策・その1(大型Fan実験)
5・燃料電池のFan対策・その2(電圧安定)
6・WEM FCクラス大会レポート
7・燃料電池のプレ加温効果smallnew.gif (926 バイト)
おまけ 燃料電池発電の水素消費量
燃料電池用DCーDC仕様
燃料電池加温Box